十数年越し、ご先祖様のお引っ越しの話し。
石材店繁盛記 〜365ブログ〜
2026年6月4日、226日目(+89)
先日の会員さんとのミーティング、
ちょっとグッとくる話を聞いた。
それは、
「お墓を引っ越したいんです」
で始まった話し。
お客様のお墓は、
福島の太平洋側。
2011年の東日本大震災で、
原発事故の影響を受けた地域。
放射線量が高く、
住むことができなくなった場所やそう。
お客様は、
震災後、車で2時間ほどの町に、
避難して暮らしている。
それも、もう十数年になる。
もう住めないので、
家は処分されたそうやけど、
お墓だけは
その地元に残ったまんま。
なぜなら、立ち入りが禁止されていたから。
ご先祖様だけが、
その場所に残されたままやった。
ただ現在も、被災地は
段階的に立ち入り禁止が解除されているそうで、
このお客様のお墓がある場所も、
最近になり、やっと解除になったそう。
つまり、それまでは
お参りに行きたくても、
行くことすらできなかった。。。
「やっと入れるようになった。
だから、ご先祖様を近くに・・」
そういう思いで、
相談に来られたそう。
会員さんは、
お客様と一緒に元の墓地に行った際、
周りには、まだ倒れたままのお墓が
あちこちにあったそう。

人の気配は少なく、
時間が止まったような光景やったと。
残念ながら、お墓が風化していて
移設は叶わん状況やったらしい。
それでも、
「昔から手を合わせてきた、
あのお墓の雰囲気を残したい。」
という、お客様の気持ちを大切に、
これまでのお墓に模したお墓を提案。
そして、ご先祖様の改葬と、
お墓が完成。
お客様は、深々と手を合わせて、
「やっと、自分の近くに
ご先祖様を持ってくることができた」
ほっとされた表情やったと、
会員さんが話されとった。
東日本の震災から、もう15年。
まさか、まだこんな状況が続いているなんて、
知らんかった。
そのお客さんの、
どうすることも出来ない気持ちに
寄り添って、
一緒に現地まで行って、
新しいお墓を提案して、
ご先祖様を引っ越して差し上げた。
これは、石屋にしかできん仕事。
最後にお客様がぽつりと
おっしゃったそう。
「運転が厳しくなるまで、
お参りにしっかり行くよ」と。
お墓を作ったその先の、お参りまで。
そこまでの会話が出来るのが、
われら石屋の仕事なんやなあと感じた話やった。






